第20回文学フリマ東京 レポート(3) 気になったもの

さて、これまで意図を持ってサークルさんを紹介してみました。
でも、この意図から外れてしまったサークルさんもあります。
もったいないので一部をご紹介したいと思います。

・翻訳
翻訳という文学ジャンルは何か心をつかんで離さないものがあります。
ある言葉を別の言葉に置き換えていくという作業は極めて創造的です。

同じ対象を指す言葉同士が異なる意味をもつことがあります。
ある文芸批評家はドイツ語の「ブロート」とフランス語の「パン」を例にしました。
別の社会学者は統計をとる際の注意として、同じ言語で異なる語があることを指摘しました。
語と語を結びつけることは、言葉の背景を解きほぐしていくことでもあります。
同時に、この作業は社会を見通すための強力な土台となります。

以前紹介したこちらの詩を読む会のサークルさん。

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同人誌では詩の翻訳を掲載するだけではなく、詩が生きている場自体の解説をしています。
こちらのサークルさんでは募金方式なのでかなりけちってしまいましたが、後に読んで後悔することになりました。

うって変わって、お次は海外SF小説の翻訳サークルさんです。

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海外の出版社とも翻訳の契約を結んで同人誌を作られているそうです。
「実は既に翻訳権について契約している」と言われることもあるそうです。
泣く泣く諦めるそうですが、その目利きは信用できそうですね。
やはり以前には本が見えるように紹介しました。
しかし、お二人が立っている雰囲気が好みだったので改めて掲載しました。

・演劇

演劇というジャンルも忘れてはなりません。
「演劇」は演じられることによって出来上がる芸術だと思っています。
しかし、そこに言葉がある限り、文学でもあります。
文字としての演劇について語る言葉を持ちませんので、ご紹介と感想を。

表紙がキャラクター的で気になったサークルさんです。

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実はのぼりを見るまで「演劇」だとは思っていませんでした。
どこかアニメ絵的キャラクターと演劇との間に線を引いていたからでしょう。
人間の身体に特権的な何かを期待していたということです。
そのことにハッと気づかされた瞬間でした。

・短歌

ちょっと今回は本筋とはズレたところが気になったサークルさんを。
元々、文学に蒙いので、ズレた記事ばかりを書いていますが。

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こちらのサークルさんが気になったのは宮台真司さんの名前があったからです。
実際に寄稿もされています。
ちょっといつも書かれているものと雰囲気が異なっていたりもします。
書店でも購入できるとのことで福岡に帰ってから購入することにいたしました。
お給料が入ったら買おう……。

さて、これ以外にもたくさん気になったサークルさんはあります。
しかし、全てを網羅していくわけにもいきませんので厳選いたしました。
文学フリマで参加された方のレポートのリンクが以下で紹介されています。

第二十回文学フリマ東京 イベントレポート - 文学フリマWebカタログ+エントリー
「もっと知りたい!」という方は是非、こちらもご覧になってください。

(文責・副代表)