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游明朝とメイリオ、字体の違い

Wondows 8.1 以降、Mac OS X 10.10(YOSEMITE) 以降に標準搭載されているフォント「游明朝」について、文学フリマ福岡事務局では、Twitterや同人誌製作講座において度々とりあげています。

游明朝は、時代小説などを組むことを目標に開発された、質の高いフォントの1つであり、特に縦書きの本を組む場合にはOS標準フォントとして何度かお勧めしてきました。昨日(2016年6月18日)の同人誌製作講座でも「游明朝」について触れたのですが、受講者の方から「游明朝は評判が悪いと聞いていますが…」と質問されました。

今回は、「游明朝体はイマイチだ」と誤解されやすいシチュエーションについて説明します。

游明朝の評判が悪いシチュエーション

游明朝は、コンピュータ向けのデジタルフォントとして開発されました。その開発経緯は、開発元・自游工房のWebサイトで読むことが可能ですので、時間がある方はそちらを読んでみてもいいかもしれません。
游明朝は、「単行本や文庫本などで小説を組む」がそもそもの開発目的です。目的を「小説」としている以上、このフォントは

  • 縦書きの日本語組版
  • 印刷物

という、2種類の用途を満たす場合に最も美しく表現されると考えて良いでしょう。

Officeソフト等のワープロで「書類」を作る際、現代の日本では横書きが主流になっています。游明朝体が横書きに向いているのか?──についてまずは検証してみましょう。


横書きに向いた書体は、文字を読む人間の視線が「左右に」自然に動くように設計されています。これはWindowsのフォント「メイリオ」で特に強く意識されています。
字体を見比べてみましょう。これは、まったく同じ大きさのサイズを指示した文字です(下図)。

メイリオと游明朝の比較

漢字では大した違いは感じないかもしれませんが、かな文字に特徴が有ります。まず、漢字とかな文字の大きさの差は、「メイリオ」よりも「游明朝体」の方が差があることが見て取れると思います。

それだけではありません。かな文字の縦の大きさを揃えた場合、「メイリオ」の横幅は、「游明朝」よりも広いのです(下図)。

メイリオのかな文字は、游明朝よりも横幅が広い

この2つの差は、「横書きにおける可読性」に大きく影響します。

日本語のかな文字は、もともと毛筆で縦書きをすることを前提に発展したため、文字のライン取りが縦書きに最適化されています。かな文字は、左上付近から書き始め、右から左下にむかって描き終わる形がほとんどです。
このため、游明朝のような「漢字とかな文字の大きさに差がある」書体は、縦書きで読んでいても適度なリズム感があり読みやすいのですが、これが横書きでは弱点となりやすいのです。
その反面、かな文字が横方向に幅広い「メイリオ」は、横書きの文字列としてたいへん読みやすいように感じるのです。

メイリオは、Windowsにおける画面表示、特にWebサイトやWord書類による「横書き」を前提にして設計されています。
そのため、日常のコンピュータでの表示では「メイリオ」が美しく、読みやすいと感じるかもしれません。
しかし、文学作品のような「縦書きの印刷物」では、メイリオよりも「游明朝」のほうが、自然な視線の動きで読みやすい──と多くの方が感じるはずです。

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このように、フォント(書体)は、使用目的によって使い分けることがあります。もしあなたが、文学フリマに出展する作品を縦書きで組んでいる場合、メイリオか游明朝で迷ったのなら、自信を持って游明朝を使ってみて下さい。

印刷してから、その選択が決して間違っていなかったと感じるのではないでしょうか。
(文責:東内)