1行の文字数と行間を考えよう
前回のエントリまでで、本文のサイズ・フォントを決めてきました。文字組版にはもう2つ、決めるべき要素があります。
それが、
- 1行の文字数
- 行間の広さ
です。
1行の文字数は15文字以上、50文字未満
結論から述べた方が良いでしょう。縦書きの文芸誌では、1行の文字数は50文字未満にします。一行の文字数が多すぎると、読者は読み疲れやすくなります。しかし、少なすぎて改行を何度も繰り返すと、やはりこれも疲れます。
小説本や新書では、25字〜45文字程度に設定されていることが多く、実際、これくらいがちょうど良い文字数です。ところが、45字と50字の間には深い溝があるようで、50字になるととたんに読みづらくなります。日本エディタースクールの「文字の組み方ルールブック」でも「縦組みでは多くても50字前後が限界、少ない場合は15文字前後までであろう」と明言されています。
一行の文字数は、ページの余白の大きさと、文字フォントのサイズによって自動的に決まります。今回の作例で「上2cm・下3cm」の余白をとり、本文の文字フォントを10ptにした場合は、45文字になります。(下図)
↓に、文字数チェック用の文字列を置いておきます。ご利用下さい。
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文字数が多すぎる場合には「段組」にしましょう
余白の大きさや、文字のサイズによっては、1行が50文字以上になる場合があります。例えば、本のサイズをB5、本文の文字サイズを9ptにした場合などは、確実に50文字を越えてしまいます。
その際は、本文を「2段組」や「3段組」にすることで、1行あたりの文字数を抑えることが出来ます(下図)。
本文が上下の2段組になっています、この設定方法を紹介します。
Wordの場合
「レイアウト」メニューをクリックし、「段組」をクリックすると、段組の種類を選択・設定できます。(下図)
Pagesの場合
本文のテキトーな場所にカーソルを入れて、右上の「フォーマット」→「レイアウト」「段」に「2」と入力します。
これで2段組になりますが、Pagesは少し厄介な問題があります。
本文の先頭などに、章名や見出しに本文とは違うサイズの文字がある場合、Pagesでは上下の段が揃わなくなってしまうのです。(下図)
幸いな事に、これには解決方法があります。
文字が大きい行をトリプルクリックして(マウスのボタンを3回押す)、「段」に1を入力してこの行だけ段組を解除します。(下図)
すると、題字の部分だけ1段組になり、テキストも揃います。(下図)
行間(段落)の設定を忘れずに
文字列の行間についても、忘れずに設定しておきましょう。行間の指定は、文字サイズ・1行の文字数と同じくらい、本の読みやすさを決める重要な要素です。
行が狭すぎると、読んでいる最中に視線が隣の行にズレてしまったりして、文字を目で追うのがつらくなってきます。また、誌面が窮屈で読みにくい雰囲気になってしまいます(下図)。
本文の行間を調整してみよう
行間の目安は、最低でも文字の大きさの半分以上です。
WordとPagesでは何も指定しなくても、ちょうど良い程度に行間があり、このままでも充分な可読性があります、文芸誌の場合は、お好みでもう少し広めにしても良いでしょう。
Wordの場合
本文の文章(ダミーテキストでも良い)を全選択して、ツールバーから「ホーム」を選んで、「行と段落」をクリックして、数値を選択します。お好みの幅に調整できます。
Pagesの場合
本文の文章(ダミーテキストでも良い)を全選択し、「フォーマット」→「スタイル」→「間隔」の「行」を選んで、数値を入力します。お好みの幅に調整できます。
これで、文字組版の基本である
- 本のサイズ(判型)
- 余白の広さ
- 文字サイズ
- フォント
- 1行の文字数
- 行間
という、一通りの設定が完了しました。
文章では長々と感じますが、慣れてしまえば、実際の操作は10数分で完了することでしょう。
そして、ここまで設定を完了してしまえば、あとはあなたの発想の赴くままに、文章を入力していけば本の原稿はほぼ完成します。
あとは、完成した原稿を印刷会社に入稿するために、「PDF」データを書き出す作業が残っていますが、それについては次回に説明します。
(文責:東内)