本の作り方 2nd season (1)-気軽に同人誌を作りたい!

本を作りたい──そう思っているあなたの中には、すでに文章がある程度出来ていることと思います。この連載では、「気軽に、美しい同人誌を作ろう」をテーマに、同人誌作成における、基礎的なデータ作成方法を紹介していきます。

気軽とは、低予算であること

本を制作するには、様々な方法があります。本当に気軽に制作するには、私のような組版業者(デザイナーやDTPオペレータ)や、印刷会社にデザイン・印刷を発注するのが最も簡単です。

しかし、この方法には結構な予算が必要です。原稿用紙に書かれた原稿を渡した場合は「文字入力費」が、ワープロソフトで入力した原稿データを渡した場合でも、「組版費」がかかります。その金額は、数万円から10万円を超えることもあります。

ところが、今はスマホタブレット、パソコンで文字入力するくらいは大半の人ができる事と思います。Twitterでツイートを入力したり、メールやLINE等でメッセージを送ったりした経験はお持ちのことでしょう。本の制作は、それらの延長にすぎません。特に、原稿データを正しくPDF形式にして印刷会社に送れば、費用を大幅に節約できます。必要なのは、印刷代だけになります。

この連載が目指すもの

あなたの中にある「文学」を本にするのですから、それに相応しい見た目の本にしたいものです。

そのため、本連載は、以下の要件を満たすことを目標にします。

縦書きであること

書店で売られている小説や詩集、歌集は大半が縦書きです。
日本語に使われている漢字・ひらがな・カタカナは、本来は縦書きの為にある文字です。横書きと縦書きを比較した場合、日本語を母語する人の多くは、縦書きの文章をよりスムーズに読める傾向にあります。

縦書きの紙面

縦書きの紙面

あなたの中に生まれた感情豊かな「日本の文学」を、無機質なビジネス書類のように横書きにしてはいけません。

横書きの“書類”

横書きの“書類”

一部例外はありますが、印刷して後世に残す文学は、縦書きであるべきです。

費用が最小限で済むこと

先述した「気軽とは低予算であること」の通り、徹底的に低予算であること──理想は0円──を前提にします。Windowsパソコンをお使いの方は「Microsoft Word」くらいはお持ちかと思います。また、Macには、「Pages」がもれなく搭載されています。以前の連載では OpenOfiice という無料のソフトを紹介しました。

困ったことに、OpenOffice はソフトの開発が終了してしまいました。まだ「Libre Office」という無料ソフトもあるのですが、今回は一般的に普及しているソフト、つまりWordもしくはPagesを使って、同人誌の原稿データを作成してみましょう。

(文責:東内)