本を作る際に、もっとも時間がかかるのは、なんといっても本文の執筆です。本の主要な内容そのものであり、場合によっては「原稿が進まない…」と誰もが苦しむものです。原稿に苦しむ人は、逃避行動として「表紙のデザインばかり何案も作る」「挿入する写真やイラストの選定を延々続ける」ということをやりがちです。しかし、そういうときは思い返して下さい。本文が出来上がらないと、本は絶対に完成しないものだという事を。
さて、本文というのは本の主要な内容ですから、もっとも読みやすさに配慮されていなければいけません。
文字組版において、「文章の読みやすさ」は、以下の4つの要素でだいたい決まってしまいます。
- 文字の大きさ
- 文字のフォント(書体)
- 行間
- 一行の長さ
まずは文字のサイズを決めましょう
文章を快適に読んで貰えるサイズは、読者によってかわります。幼児向けの絵本、学童向け、青少年・青年向けの本はそれぞれサイズが違います。しかし、本作りの初心者…とくに若い方…は、文字の大きさを必要以上に小さくしがちです。小さな文字がびっしりと埋め尽くされた誌面は、緻密な雰囲気があり、作った人には「大著を作り上げた」という喜びがあるでしょう。しかしそれは、ただの自己満足でしかありません。
デザイナーの経験則として断言しますが、8pt未満の本文には、読者がつきません。すなわち、読まれません。
小説・評論本における標準的な文字サイズは9pt
現在の出版においては、本文は9ptが「標準的な大きさ」です。小説本や新書の多くは、9ptが基準になっています。このサイズであれば、老眼のかたでもギリギリ読める大きさです。25年前はどの出版社も8ptが基準でしたが、紙の本を読む平均年齢層の上昇に伴い、現在は9ptが標準になっています。
とはいえ、これはあくまで「小説や評論」の話です。詩集や歌集であれば、もう少し大きくても良いでしょう。
今回、作例は小説本を想定し、主要読者層を青年以上と考え、10ptにしておきます(下図)。幅広い世代の皆さまに参加してもらいたい「文学フリマ福岡」なので、60代の方でも読みやすいように配慮しました。
Wordの場合
下図のように本文の文字(ダミーテキストでも可)を選択し…
右クリックをしたら、サイズ変更ができます。フォントサイズの項目を「10」にします。
これで、Word上で本文の文字サイズを10ptにしました。
Pagesの場合
本文の文字(ダミーテキストでも可)を選択して、右の「フォーマット」→「スタイル」をクリックして、フォント項目のサイズで「10pt」と入力します。(下図)
これで、Pagesにおける本文の文字サイズが決まりました。
(文責:東内)