第32回現代思想読書会

今年最後の現代思想読書会を12月12日に開催します。

テキストは『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミストシオランの思想』です。

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生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミストシオランの思想 著者:大谷 崇 出版社:星海社新書

 

10月、11月と第一部を読んでいきましたが、今回は第二部を読みます。現在、現代思想読書会では読書会当日にテキストを読むようにしていますので、未読の状態での参加も可能です。というか基本的に未読の状態から始めています。ですので詳細に中身を吟味するというところまではできませんが、その分敷居は低くなっています。もちろん、読んでからの参加でもまったく問題ありません。

 

シオランは “第二次大戦後にフランスで活躍した思想家・哲学者・作家・エッセイスト” で 、“「ペシミストたちの王」ともいわれるように、暗い思想で知られてい” ます。

 

暗い思想と言われるだけあって、第一部の目次をみると「怠惰と疲労」、「自殺」、「憎悪と衰弱」、「人生のむなしさ」、「病気と敗北」と一見してネガティブがワードの目白押しです。

 

一見するとネガティブなのですが、“ネガティブなことを「生き生き」と語ってくれる” シオランを読むと “意気消沈するどころか、逆に元気になってしまうことがよくある” という不思議な魅力の持ち主でもあるようです。

 

そこには価値の転換があるわけですが、それはネガティブがポジティブになるということではなく、ネガティブはネガティブなまま、ネガティブの別の側面を見せてくれます。

 

シオランは病気がちの人で生涯リューマチに悩まされていたり、17歳のころから深刻な不眠に悩まされています。それゆえにネガティブな出来事を抜きにして物を考えることがそもそもできなかったのでしょう。

 

私たちもネガティブなことを抜きに生きることはできません。怠惰に過ごしちゃいますし、慢性的な疲労を感じていたり、「死にたい」と思うこともあれば、だれかを憎く思ったり、衰弱して何もできなくなってしまったりもしますし、こころのどこかにむなしさを覚えながら生きたりしています。(していない?)

 

だからこそ、ネガティブを少し違った角度からうがった考え方にふれてみるのも悪くないのではないかと思います。そういう思いもあって、選んだ本でもあります。

 

現代思想読書会は定期的(だいたい月1)にNPO法人あすみんにて開催しています。お時間がありましたら、ふらっと参加してみてください。興味がありましたら、下記リンク先からひと言ご連絡いただければと思います。

 

現代思想読書会

 

(文責:太田)